運命の恋人達



 青い空。
 視界をさえぎるもののない水平線が、どこまでも広がっている。
 白い石灰岩質の切り立った崖の頂上に立ち尽くして、金髪の青年が、遥か眼下を眺めている。傍らに寄り添うのは、彼よりもわずかに丈の低い黒髪の男だ。男が、青年の手を握りしめた。
「ジャン。おまえは、この場所が、気に入っているんだな」
「ええ。ロイ。なんでなんでしょうね。すべてに溶け込んでしまいそうで、不思議と安心するんですよ」
 緑の水面と砕け散る白い波頭。
 見下ろしているだけで、吸い込まれそうだった。
「それは困るな。おまえがいなくなったりしたら、私は気が狂ってしまう」
「あんたに黙って………いなくなったりしませんって」
「当然だ。おまえは、私の帰る場所、おまえにとっても、私だけが帰る場所のはずだ」
 きっぱりと言い切ったロイに、
「自信家ですね」
 ジャンが苦笑する。
「本当のことだろう。私は、おまえを愛しているよ」
「はい。ロイ、オレもです」
 どちらからともなく、ふたりのくちびるが触れあった。
 海のかなたから吹きつけてくる風が、ふたりの髪を、着衣を、はためかせる。
「海風は、病みあがりのからだによくない。そろそろ家に戻ろうか」
「はい」
 振り返れば、赤茶けた荒野の只中に、緑に包まれた、家がある。
 そこが、彼ら、ジャンとロイの、帰るべき家だった。



 それは、信じたくない光景だった。
 マスタングを銃弾からかばい、ハボックが被弾した。
 弾は、まがうことなく、ハボックの心臓の位置を貫いていた。
 数え切れないほどくちづけを交わした、わずかに口角の下がったくちびるが、彼の名を呼ぶかのように、かすかに動いた。
 そうして、緑の瞳は、光を失ったのだった。
「ジャンッ!」
 ロイの、魂消えるような絶叫が、その場に、こだました。


「ロイッ! どうしたんです」
 肩を揺さぶられ、ロイ・マスタングは目覚めた。
「ああ、ジャン」
 そこにいたのか―――と、自分を見下ろす恋人の頬に手を伸ばした。
 いつの間にか、居眠りをしていたらしい。
 乱打する心臓。
「うなされてましたよ」
「夢だよ………ひどい悪夢だ」
 おまえが死んだ夢だ―――付け加えそうになり、別の表現に切り替える。
 心配そうに自分を見下ろしている明るい緑のまなざしに、ロイは、何気なさを装う。
 ホッと、緊張を解いたジャンが、肩をすくめた。
 大丈夫、彼はまだなにも気づいてはいない。
 心臓に悪い夢だった。
 そう、とても。
 悪夢の苦さに、ロイの整った口角が、ゆがめられた。
「紅茶を淹れて来ますよ。たしか、アール・グレイのいいのがまだあったはず」
 ひょろりと丈高い恋人の背中を見やりながら、ロイの夜の海のように黒い瞳には、悪夢の名残を見ているような、どこか辛そうな影が降りていた。
 硬質な音を立てて、ジャンが紅茶を運んできた。
 テーブルを挟んだ向かい側のソファに座り、ジャンが紅茶を飲む。かすかに仰のいた喉の白さが、ロイの目に印象的に映る。
「どうしたんです? アール・グレイ、お好きでしょう」
 どこか不安そうなジャンの声に、自然と手がティー・カップに伸びる。
 彼を不安がらせてどうする――自分を諌めながらカップを持ち上げると、ジャンがホッと安堵した表情を見せた。
 平然を装いながら、ジャンは、不安がっている。それを痛いほどに感じながら、ロイは、カップに口をつけた。
 紅茶のかおりが、ぬくもりが、全身のこわばりを溶かしてゆく。
「ああ、ジャン。おまえの淹れる紅茶はいつも美味いな」
「それはどうも」
 照れるとぶっきらぼうな反応を見せる恋人の手を、軽く握る。
「え、えーと。晩飯、なんにします」
 焦ったように手を引こうとするのを、強引に引き寄せた。
 テーブルの上の茶器が、硬質な音をたてて、ロイの行動を非難する。
「おまえがいい」
「いや、そういうことじゃなくてですね」
「晩飯よりも、おまえを食いたい」
 ふてぶてしい笑みで、ロイはジャンを見上げた。



 けだるい。
 ジャンは寝返りを打った。そんな動作すらもが、腰にひびく。と、背後から伸びてきた腕が、頭を抱え込んだ。
 起こしたのかと思ったが、条件反射のようなものだったようだ。
 まぁ、いいけどな。
 このひととこういうことをするのは、悪くない。そう、時々たがが外れたように激しいときがあって、泣き叫んでしまうときがあるけれど、おおむね、ロイはやさしい。愛されているんだと思う。それに、自分も彼を愛しているんだろう。彼の瞳に、何気ない挙措に、意味を同意を求めようとしてしまう。まるで、初恋を知ったばかりのように、それを失わないように必死になっている。
 一年半前になるだろう、あの日気がついたとき、そこには、端正な顔があった。
 泣き笑いのように表情を歪めて、黒い瞳がジャンを見下ろしていた。
(オレの一番初めの記憶ってそれなんだよな)
 わずかに一年と半年分の記憶しか、ジャンにはない。だから、この好きは、もしかしたら、所謂インプリンティングというやつなのかもしれないと、思うことがあった。
 黄色い頭の雛が、黒い頭の雄鶏を親だと思って追い掛け回している――そんな情景がまぶたの裏に浮かんできて、ジャンは声を押し殺して笑った。
 記憶のすべてを失ってしまった自分と、そんな自分のことをすべて知っているだろうロイ・マスタングという男。この、人里はなれた辺境の地には、ほかには誰も住んでいない。いきものをはぐくむことのない痩せた赤土に、嘘のようなと言ってことばが悪ければ、奇跡のような緑に囲まれた堅牢な石の家が断崖絶壁に建っている。あとは、遥か眼下に海があるだけだ。
 ほかに動くものといえば海鳥ていどの寂しい土地に、ふたりきり。まるで、なにかから逃れてでもいるかのようだ。
 いったい何があったんです―――
 あんたは、こんなところにいるような人間じゃないでしょうに。
(なくしてしまったオレの過去には、どんなことが刻まれていたんです)
 何度、口に出して訊こうと思ったか。
 けれど、あの夜の海めいたまなざしの奥に、まだ癒えきっていない傷のようなものを感じて、口にできないでいる。
(いつか、あんたの傷が癒えた時でいいですから、教えてくださいね)
 心の中でつぶやくと、ジャンはロイのぬくもりに包まれて、目を閉じた。
 そんな彼を、黒い瞳が見つめていることなど、ジャンは知るよしもない。
 愛しいものが再びの眠りに落ちてゆく気配を感じながら、ロイは、その金の髪を飽かず弄ぶのだった。



 厳しい冬が日一日と近づいてくる。
 家の周囲の針葉樹以外の木々はすっかり葉を落とし、痩せ衰えた屍が林立しているかのようだ。
 寝室の窓から急速に暮れてゆこうとしている外を眺めやりながら、ジャンは肩をすくめた。
(ちゃんと客の相手ができてるんでしょうね)

 ちょうど夕飯の支度をしているときだった。自分のものでも、ロイのものでもない、ひとの気配を玄関に感じた。
 珍しいな――事実、ジャンが知るかぎり、ということは一年半ほどの間ということだが、この最果ての地を訪ねてきたものはおろか迷い人のただの一人も存在しなかったのだ。
「はい?」
 ドアを開けたジャンは、夕焼けの中にたたずんでいるふたり組に、怪訝な顔をした。
 しかし、それは、訪問者のほうも同じだったらしい。玄関にたたずむジャンを認めて、大小のふたりは固まった。
(?)
 まるで幽霊を見るような―――青ざめ顔をこわばらせた表情でジャンを見上げた、金の髪に琥珀の瞳の十代後半ほどに見える少年と、背後の二メートルを悠に越える鎧姿の誰かは、しばらくの間、太古の神話にある、女神を見て石に変えられたという若者たちのように、身じろぎもしなかった。しかし、
「うちに用? それとも、迷った?」
と、訊ねたジャンに、金髪の少年が前にかしいだ。
「おいっ? 大丈夫かっ」
「にいさんっ」
 とっさに手を出したジャンの腕の中に、少年が崩れ落ちる。
 荒い息で上下するまだいたいけな薄い背中を上下に撫でながら、
「横になるか」
 抱き上げようとした。それに、
「だ、大丈夫。しょう……いや、大佐……はここに?」
 かすかに震える声で、そう訊ねた。
「大佐?」
 首をかしげたジャンに、
「ロイ・マスタング大佐だ」
 言い直す。そうして、自己紹介をしたのだ。
 自分をさしてエドワード・エルリック、背後をさして弟のアルフォンスだと。
「ああ、ロイに、用ね。おいで、こっちだ」
 手招くと、弟だと言う鎧姿の少年が、おじゃましますと小さくつぶやいた。
 ロイは自分の部屋で本を読んでいるか、寝ているかだろう。ふたりには応接室で待ってもらおうとジャンは考えたのだが、その必要はなかった。
 騒ぎを聞きつけたのか、階段を下りてきていたロイに、ふたりが気づいたからだ。
「大佐っ」
 駆け寄るふたりに、
「何をしに来たんだね」
 大佐と呼ばれるロイは、そっけない。
 何か言いかけたふたりに、
「そこが応接室だ。そこで待っていてくれ」
 ふたりが彼の指示に従うのを待って、ロイはジャンを手招いた。
「ジャン」
 端正な顔がぎこちない笑みを作る。
「すまないが、私がいいと言うまで、おまえの部屋から出ないでほしい」
「でも……」
「頼む」
 いつになく真剣な、今にも涙を流すのをこらえているかのような表情で、ロイがジャンを見上げる。もとよりそんなロイに、逆らえるジャンではなく、ことば少なく諾と答えて、ジャンは今ロイが下りてきた階段を上ったのである。



「久しいね、鋼の」
 ジャンが沸かしておいた湯を使い、紅茶を淹れたロイが、テーブルの上にふたり分のティーセットを並べた。
 自分で淹れた紅茶を一口すすり、
「やはりジャンが淹れたのには適わないな」
 ロイは独り語ち、サイドボードからブランデーを取り出して紅茶に数滴落としこんだ。
「何をしにきたのか、訊かないの?」
「訊く必要はないだろう。それに、用はもう済んだのではないかね、鋼の」
 かすかに音をたててカップをソーサーに戻したロイが、足を組み替え腕を組む。
「噂は、本当だったんだな」
「さぁ。私は鋼のが言う噂がどれをさしているのか知らないのでね」
 嘯く(うそぶく)ように、ロイが返す。
「……焔の錬金術師が生きている」
 エドワードの声が、低く重く軋む。
「そんな噂が、あんたが死んでだいたい一年後だったか、セントラルにまで聞こえてきた」
「それだけかね?」
「……オレがセントラルで聞いた時は、まだそれだけだった」
 今は知らないということだ。
 だが、この少年たちには、それだけで、真偽を確かめるのには充分な噂だったろう。
「一年かかったか……もう少し早くここがわかるかと思ったんだが、案外かかったな」
 ロイの口から出た思いもよらぬことばに、エドワードの琥珀の瞳が見開かれる。
「まさか……噂を流したのは、あんた?」
「そうだ」
 ゆったりとうなづく。
「死んだはずの私が生きていると訊けば、君たちが必ず来るとわかっていたからね」
「ふうん」
 冷めきった紅茶が満たされたカップに、エドワードはようやく手を伸ばし、口をつけた。
「死んだというのは、狂言?」
「―――」
「だよな。愚問だった。じゃあ、死んだふりまでして姿を消したあんたが、手間暇かけて噂を流してまでオレを呼んだのは、まさか」
 視線で、二階を指し示す。
「ああ」
「賢者の石を見つけたのか?」
 琥珀の瞳が、ロイをまっすぐに見つめる。
 ロイの黒瞳が、少年の金目を見返す。
 やがて、
「残念ながら、賢者の石は関係ない」
 エドワードのまなざしが大きく見開かれ、ぐいっと顔を寄せた。
「練成式は? 必要な材料は?」
 真摯な表情で詰め寄ってくる少年に、ロイの秀麗な眉間に縦皺が刻まれた。
「教えられない」
 重い口調だった。
 かつて聞いたことがないほどに、厳しい口調だった。
「なぜっ」
 それでも、エドワードは、一歩も引かない構えを解かない。それもそのはず。少年もまた、人体練成を望むものだからだ。
 彼らがそれを心の底からの欲していることを知りながら、教えてやることはできない。

 なぜなら――――

「そんな」
 悲鳴じみた声で、エドワードが喘ぐ。
「そういうわけだ。数日泊まっていくといい」
 いつの間にかとっぷりと暮れた窓の外に、部屋の中も闇に染まっている。少年たちの顔も、うっすらと輪郭が確認できるていどだ。ロイは立ち上がり、ドアの脇にある照明のスイッチを探った。
 数瞬後、うなだれた少年たちの姿が、照らし出された。
 


  「あー、うまかった」
 腹をさすりながら椅子の背にどっかともたれるエドワードを、
「行儀が悪いよ、兄さん」
と、鎧姿の弟がたしなめる。
「それはよかったな」
 食後の紅茶を運んできたジャンが、うれしそうな笑顔をふたりに向けた。
 それを見たふたりの脳裏に何がよぎったのか、彼らはジャンから目を離すことができなかった。



「なんか、変な感じだよね」
「あ?」
 客間のベッドに横になって、アルフォンスがエドワードに話しかける。
「ハボック少尉」
「そりゃあな」
 何年ぶりになるのだろう。
「大佐が死んで埋葬されてから、まぁ、嘘だったんだけどさ、三年だよな。っつうことは、オレらが少尉に最後に会ってからも、それくらいになるんだな」
「ぜんぜん変わってないや」
「大佐は老けたけどな」
「老けたって……兄さん。大佐も三十二だし」
「落ち着いたってことか? まぁ以前の軽薄さはなくなってるみたいだけどな」
「そうだね」
 それっきり、ふたりは闇の中で黙り込んだ。
 しんとした空気の中、沈黙が闇に溶けていった。



(……軍人だったんだな)
 ふたりの訪問客が口にした、唯一のロイの過去に関する手がかりは、それだけだった。
 気になる。
 気にならないはずはないのだ。
 ことは、恋人のことである。
 おそらく、彼らは、自分の知らないロイのことをいろいろ知っているにちがいない。
 ロイについて自分が知っていることといえば、
(ものぐさで、やさしくて………すけべってことだな)
 それらは、自分が彼と暮らして知ったこと。なぜ彼がこんな辺境に住んでいるのか、ここに来る前の彼が何をしていたのか、自分は一切知らない。それは、自分自身の過去を知らないと言うことともあいまって、不安材料のひとつだった。
 けれど、あの日、目覚めたとき、泣きそうな顔で自分を見下ろしていたロイの姿だけで、そんな不安など、些細なものだと思えもするのだ。だから、互いの名前と自分たちの関係を教えられ、それ以上の疑問は持つまいと決意したのだったが。 (まぁ、ロイが教えてくれるのを待つつもりは待つつもりなんだけどな)
「どうした? 眠れないのか」
 背後から伸びてきた手に、
「そういうわけじゃ……ないっすけど。……ちょ、ちょっと、今日はまずいっしょ…………あっ……」
「気にすることはない」
 いたずらなくちびると手が、ジャンを煽ってゆく。
 かすかな痛みとそれを上回る快感の波に、ジャンは翻弄され、飲み込まれていった。



 気絶するようにジャンが眠ったのを確認して、ロイはそっとベッドに上半身を起こした。
 立ち上がりかけて、眩暈(めまい)に襲われる。
 からだに残る快楽の余韻が、手足の先から冷えてゆく。
 全身が小刻みに震えだす。
 馴染んだ感覚だった。
 震える手を伸ばし、サイドテーブルの小引き出しから薬包を取り出し、開いた。そこには、赤黒い小指の先ほどの錠剤が数粒転がっている。一粒を口に含み、ロイは嚥下した。
 からだの中心からからだのすみずみへまで広がってゆくあたたかさを、目を閉じて味わう。
 やがて、ロイのくちびるから、深いため息が押し出された。
(もうあと三粒か………。エルリック兄弟はタイムリーに来てくれたな)
 独り語ちると、ロイは、恋人の金の髪に手を伸ばした。



 それは、悪夢だった。
 自分の命などよりもはるかに大切なひとを狙う銃口。
 ほかの誰も気づいてはいない。
 自分の銃の腕前では、ロイを狙っているものの銃を弾くことも、相手を殺すことも、できないだろう。被弾の衝撃に、相手がトリガーを引かないとも限らない。銃弾が、ロイに当たらないことがないとは言えない。
 そこまでは、冷静に。
 あとは、ただ、闇雲に、走った。
 守れることを、あのひとを、失うくらいなら、自分の命を投げ出すから。錬金術師たちがよく口に出す、等価交換を、心の底から願った。自分の命などが、あのひとの命と等価とは、とうてい思えなかったけれど、それでも、命は命であがなうべきだろう。
 だから、からだに灼熱を感じたときも、笑っていられた。
(あんたが望みをかなえるところを、見ることはできないけれど、あんたの盾になることができた。あんたを守れたことが、オレの誇りですよ)
「ロイ……」
 最期の最期、愛するひとの黒いまなざしを見上げて、名前をつぶやいた。

「ロイッ!」
 喉の奥から搾り出されるようにほとばしった悲鳴に、眠りが破れた。
 心臓が痛い。
 厭な汗に、からだが、冷たい。
 全身が小刻みに震え、激しい動悸に耳の付け根が痛んだ。
 無意識に恋人を求めてさまよう手に、熱が失せたシーツだけが触れた。
「ロイ?」
 震える声で、恋人を呼ぶ。
 闇に閉ざされた室内に、彼の気配は、感じられなかった。
 しんと静かな部屋の中、自分の鼓動だけが、耳の奥で聾がわしい。
「夢……だ」
 言い聞かせるようにつぶやく。
 しかし、勝手に夢を反芻する脳に、情景が鮮やかさを増してゆく。
 自分を抱きしめているロイ。今よりも若いロイの顔。彼だけを見ていた自分の視界の端に、青ざめた幾多の顔。その中には、突然の訪問客であるエドワード・エルリックの幾分か幼い顔も、鎧姿のアルフォンスも、いる。
 冷たい汗が、背筋を濡らす。
「夢なんだ」
 そうでなければ。
「ロイ、夢ですよね」
 すべてを話して、夢だと断じてほしかった。
 つまらない夢を見たもんだなと、笑い飛ばしてほしかった。
「どこなんです?」
 ロイを探すべく、ジャンはベッドを抜け出した。



 ひとの気配に最初に気づいたのは、眠りの必要がないアルフォンスだった。
 ガシャリ。
 鎧を軋らせてからだを横たえていたベッドの上に起き上がったアルフォンスは、点された灯りの中に、ロイの姿を見出した。
「大佐………?」
「すまない。起こしたようだね」
「いえ、別に、僕は眠りませんから」
「ああ、そうだった」
「兄さんに用ですか?」
「ああ。深夜に悪いとは思うんだがね。起こさせてもらうよ」
 そう言って、エドワードの肩をゆする。
「鋼の」
 眠い目をこすりながら起き上がったエドワードだったが、
「すまないが、君に頼みがある」
 かつて聞いた記憶がないほど真剣な声に、眠気がたちまち消滅する。
「それは、あのひとのこと?」
「そうだ。君に話していないことがある」
「練成式……じゃなさそうだな」
 すわれば――と示されたエドワードの隣に腰を下ろし、ロイは、話しはじめた。



 ジャン・ハボック少尉は、殉職して大尉に昇進した。
 しかし、それがなんだと言うのだろう。死んでから昇進しても、当人には何の意味もないに違いない。
 ずっと隣にいるのが当たり前だと思っていた恋人の突然の死を、ロイ・マスタングは、彼の葬儀の後一週間が過ぎようと言うのに、受け入れることができなかった。
 自分をかばっての死。
(ばかが。おまえも生きていなければ、私の野望など、チリほどの価値もありはしないのだぞ)
 ただひとつの望みは、恋人の生。
 生きて、となりに立っていてほしい。
 ただそれだけなのに。
(おまえと引き換えに得るものなど、意味がない)
 たとえ自分の命を得たとしても、そんなもの、等価交換になりもしない。
 すべてが、虚しい。
 恋人が守ったこの命すら、恋人の永遠の不在を思い出させる忌々しい証のようで、切り裂いてしまいたくなる。けれど、
(おまえの望みが、私の生なら、自死はすまい。しかし………)
 恋人の墓を見下ろし、彼の心にわきあがってくるのは、打ち消しても打ち消しても響いてくる、悪魔のささやきだった。

 しばらくして、ロイ・マスタング大佐の死が報じられた。
 難民と市民の小競り合いを治めに行っての、あっけない爆死だった。
 しかし、彼の死体は見つからず、行われたのは、死体のない葬儀だった。
 その三日後、ジャン・ハボック大尉の墓が荒らされ、死体が盗まれたのである。
 

「じゃあ、あの少尉は………」
「そう。人体練成をしたわけではないのだよ。役に立てなくて、悪いね」
「少尉の死体が盗まれたって言うから、変だとは思ってたんだよな」
「冬だったのが、幸いだった。あれは、生きていたときと同じ姿で、眠っているかのようだったよ。…………盗んだ後は、からだが朽ちないように、保存しておいた。そうして、魂の練成にたどり着くまで、一年だ。からだと魂を結びつけるのに、さらに半年がかかった。記憶はもどらなかったがね、それでも、彼は紛れもない、ジャン・ハボックなのだよ」
「それは、恋人を取り戻せておめでとうと、そういうべきなのかな? それとも………」
「ありがとうと、そう返しておこう」
「でも、なにか、オレを呼ぶんだから、なにか問題があるんだろ?」
「ご賢察。さすがだね、鋼の」
 何か飲むかね? と、訊ねるロイに、エドワードは首を振る。
 肩をすくめて、ロイは、ベッドサイドの水差しを取り上げてコップに水を注ぐ。飲み干し、一息ついた。
「私はもう、そう長くはない」
 告白の内容に、エドワードとアルフォンスがその場で固まった。
「……等価交換に、何を支払った」
「なにも――と、言いたいところだが、寿命だろうな」
「寿命って、大佐」
「最初、代価は何も払っていないと思ったんだが」
   クスリと、笑う。
「後払いとはね。しかも、分割払いだ」
「?」
 エドワードとアルフォンスとが顔を見合わせる。
「鋼の、君は、あれを好いていたろう」
 突然の話題転換だった。
 とっさに赤くなったエドワードが、
「な、なにを」
 うろたえる。
「隠すことはない。今の君がどうかは知らない。けれど、三年前、私と同じ意味で、君もまた、ジャン・ハボックを愛していたな」
 黒い瞳が、琥珀の瞳を覗き込む。その真摯な光に、エドワードは折れた。
「ああ。オレも、ジャン・ハボック少尉を愛していたよ。多分、今でも」
「それを聞きたかった」
 ふわりと笑い、ロイがつづける。
「あれは、三年前と少しも変わっていないだろう。あれは、老いない。というか、心臓が動いているのも、呼吸しているのも、血液が体中をめぐっているのも、すべては、錯覚でしかない。そう、あれは、死体に魂を繋げただけの不完全な存在なんだ。だから、私がいなくなれば、あれは、おそらく三日ともつまい」
「それはいったい」
 どういう意味だ―――そうつづけようとして、
「あれが人並みに動いているのは、ひとの命を奪っているからだ」
 いっそ冷徹なまでにロイが言ってのけたことばを反芻し、
「まさか」
「そうだ」
「大佐の気を、喰らっている?」
 静かに、ロイが瞳を閉じる。
「ひとの気を喰らって、生きている………」
「私が、無理やりによみがえらせて、あれの在り方を狂わせた。だから、私が食われるのは、下された罰だ。潔く受け入れよう。しかし、あれは、ジャンは、それを知らない。できれば知らないままでいてほしいが、それは、無理だろう。いずれ気づく。仮に気づかなかったとしても、私が死ねば、気づくときが来る。私は、あれを死なせたくはない。だから、そのときは、」
「オレに、あんたの代わりをしろ……と?」
「そんな。大佐は、兄さんに死ねって」
「ああ。私はひどいことを言っている。しかし、君たちなら、いずれ賢者の石を見つけるだろう。もしくは、人体練成の真理を得るだろう。だから、そのとき、あれを、真によみがえらせてやってほしい」
 頭を深々と下げるロイに、
「あんたは、最低だ。もうすぐ死ぬだろうってヤツの願いを突き放せるわけないだろう! 一回死んだぐらいでその腹黒さはかわんねーってか」
「しかたない。これが、私だ」
 いっそ誇らしやかにロイが言った時だった。
 ドアの外で、ひとの倒れるような音がした。
「ジャンッ」
 誰よりもすばやい反応をみせて、ロイがドアを開けた。
 暗い廊下にうずくまるジャンの、金の髪が、ドアを開けた風圧に揺らいだ。


 心臓が、からだの中で暴れている。
(これが、錯覚?)
 自分を抱きしめるロイのぬくもり。
(このひとの命を、オレが奪っている?)
 そう長くはない―――
(嘘だ)
 耳を塞ぐ。
(イヤだ)
 目をつむる。
(信じたくないっ)
 首を振る。
(オレが生きていると、ロイの命が失われるんだ)
 こみあげてくる涙。
(なら、簡単なことじゃないか)
「ジャン」
 目を開き、自分を見つめる端正な顔を見返す。
「ロイ、愛してます」
 にっこりと笑いそう告げると、ジャンはロイにくちづけた。
(だから、もう、遅いかもしれないけれど………)
 とんと、かるく、ロイを突き放す。
 そうして、ジャンは、後も見ずに駆け出したのだ。

「ロイ、愛しています」
 あかるい緑の瞳の奥に、ロイは恋人の決意を見て取った。
 いやな予感が、背筋を這いずる。それに、ほんの一刹那だけ気をとられた。
 軽い衝撃。
 遠ざかってゆくジャンの足音。
 ロイは、考えるまも見せず、指をこすり合わせていた。
 三年ぶりのそのしぐさ、しかも発火布なしの――ではあったが、ロイの放った術は、たがわず、ジャンの足を止めた。
「ジャン」
 漆喰壁が剥がれ落ちてくるのを、指をこすり合わせて食い止める。
「こないでください」
 拒絶の声に、ロイの足が止まる。
 ロイの背後では、エドワードが、アルフォンスが、下手に動くこともできずに、イヤイヤと首を振るジャンを見ていた。
「オレが、オレがいると、あんたが、死んでしまいます。そんなの、オレには耐えられない。だって、オレは、あんたを助けるために死んだんでしょう」
「ジャン、いいから、いいこだから、こっちへ」
 差し伸べる手を、かたくなに拒絶する恋人に、かすかに、ロイの眦が切れ上がる。
「ジャン!」
「助けるために死んだのに、なのに、あんたがオレのせいで死ぬなんて。それくらいだったら、オレが、死にます! そうすれば、あんたは、まだ、生きていられる。オレの望みは、あんたが、生きていることなんですから」
 叫ぶと、ジャンは、踵を返した。
 とっさにエドワードが練成した、廊下の障害物をからくも避けて、ジャンの姿が見えなくなる。
 エドワードの再練成よりも先に、ロイが床材を吹き飛ばす。
「大佐っ」
 駆け出したロイを追って、エドワードとアルフォンスもまた走り出した。
「いったいどこに………」
 月の光に影を落とす、木々のつらなり。
 ざわざわと冷たい風が、木々の枝を揺らす。
 暗、冬めいた夜空を、黒い雲が駆け抜ける。
 月が雲に飲まれ、吐き出される。
「どこか、少尉のお気に入りの場所とか」
 エドワードの示唆にしばらく考え込んだロイが、
「もしかしたら」
と、木立の中に分け入った。

 よみがえったばかりのジャンのリハビリで、崖まで散歩をしていたことを思い出したのだ。
 ジャンは、崖から水平線を見るのが好きだった。
 ―――すべてに溶け込んでしまいそうで、安心すると、言っていた。
(いそがなければ)
 あんな崖から飛び降りたりしたら、人間などひとたまりもない。
(頼む。間に合ってくれ)

 雲間から吐き出された月が、陰画紙のような光景を照らし出す。
 闇の陰影。
 波間に踊る月光に、ジャンの全身がきらきらと輝き、ロイの不安をあおる。
「ジャン。こっちへ」
「いやです」
 かたくなな態度に、ロイの秀麗な表情が、ゆがむ。
「オレは、あんたの迷惑になりたくないんです」
「迷惑なんかじゃない」
「あんたを、殺す存在ですよ、オレは」
 泣きそうな顔をして、ハボックが、ロイを見やる。
「オレがいる限り、あんたは、生気を吸われてしまう。そんなの、オレは、オレが許せません」
「いいか、ジャン。おまえが死ねば、私も、おまえの後を追うぞ。おまえは、私を生かそうと自分を殺すのだろうが、おまえが死んだことで、おまえは私を殺すんだぞ」
「そんな」
 力ない悲鳴が、その場にこぼれ落ちる。うろたえたジャンが、首を左右に振りつづける。
「なにが、そんなだ。言っただろうが。おまえがいなくなったりしたら、私は気が狂ってしまう――と」
 一気に数歩進みより、ジャンに向かって手を差し伸べる。
「ひどいですよ。あんたは、いったい、オレにどうしろって言うんです」
 張りのない、泣き笑いのような、声だった。
「生きてくれ」
「もともとが、死人ですよ、オレは。オレは、あんたに迷惑をかけてまで生きていたくないです」
「それでも、だ。おまえをよみがえらせた、不完全によみがえらせたのは、私の罪だ。その上で生きろと言うのは、私のエゴだ。わかっていても、生きていてほしい。ダメか?」
 黒い瞳が、惑い揺れる緑のまなざしを、凝然と見つめる。
「あんたのいない生を、オレに強要するなんて、ずるいですよ」
 自分はこの恋人に勝てるはずがないのだとうなだれたジャンに、満面の笑みをたたえたロイが、残る距離を一気に無にしようとした。

 そのとき――――

 木立の中でロイの姿を見失ったエドワードとアルフォンスが、ようやく彼に追いついたときのことだった。
「ハボック少尉」
 よかった―――と、胸を撫で下ろしかけ、逆転する。
「!」
 それは、誰の、悲鳴だったのだろう。

 それは、突然のことだった。
 大地が、揺れた。
 大きく突き上げるように地面が揺れ、エドワードとアルフォンスは足元を掬われ、支えを求めずにはおれなかった。
 エドワードとアルフォンスの揺れる視界の中で、突然、ロイの足元が崩れた。
 ジャンが、ロイを突き飛ばし、ロイの伸ばした手が、虚空を掻いた。
 バランスを取り戻そうと苦戦しながら練成をする錬金術師たちをあざ笑うかのように、大地は揺れつづけ、かろうじてジャンをその先に吊り下げることに成功したのは、どうにか練成が間に合った、今にも崩れ落ちそうな、石灰の橋。その半ばから先が折れ砕けたのが、不幸中の幸いだったろう。
   気を失っているのか、ジャンの反応はない。
 揺り返しに、大地が苦鳴を上げる。
 エドワードもアルフォンスも、練成に集中して、ジャンを助けるまでに至らない。
「大佐っ」
 エドワードとアルフォンスの悲鳴が、ひときわ大きく響いた。

 ロイが、揺れ軋む、いかにも脆そうな橋を渡っている。
   先にゆくにしたがって細くなっている。しかし、ロイに見えているのは、その先にかろうじて引っかかっている、ジャンの姿だけだ。
(これでは、あの時と同じではないか)
 自分の命を救って、恋人が死ぬ。
 三年前の悪夢をなぞるかのように、繰り返されようとする運命。この皮肉が、真の等価交換なのだろうか。
 一度死んだものがよみがえることを、自然は、神の摂理は、決して許さないのか。
 視界が、涙でかすむ。いや、これは、汗だ。汗が、目に染みるだけだ。
「ジャン……」
 もう少しだ。
 気を失っているなら、失っているままでいてくれ。
 今にもそこから折れてしまいそうだ。折れたら最後、海がジャンを飲み込むんでしまう。
(私から、二度もジャンを奪わないでくれ)
   何とも知れないものに祈る。
 神なのか、悪魔なのか、それとも、運命か、摂理か。もしくは、自然そのものなのかもしれない。
(なんだろうとかまわない。ジャンを救ってくれるなら)
 膝を突き、手を伸ばす。
 あと少しなのに、届かない。
 これ以上橋を細くしては、かろうじて支えている二人分の体重に、耐えられないだろう。  目の端に、エドワードとアルフォンスに、何度も練成されては砕け散る幾本もの橋が、現われては消えてゆく。
「よし!」
 どうにか、ジャンの腕に触れることができた。
 掴み、引き寄せる。
 音たてて、それまでジャンが引っかかっていた箇所が崩れ落ちた。
「ジャンッ!」
 抱き寄せる。
「……ん? ああ、ロイ、無事だったんですね」
 目の前で笑んだジャンに、ロイは天を仰いだ。
「ああ。おまえのおかげだ」
「よかった」
「さあ、ジャン。一緒に行こう。ここも危ない」
 抱き上げようとしたロイに、ジャンが静かに首を振る。
 笑んだままで、静謐な光をまなざしに宿して。
「行けません。肋骨が折れてます。多分、肺も心臓もやられてます。血も出やしない。オレのからだが不完全だとしても、ここまでやられては、もう」
「治してやる」
 また同じやりとりか――と、ロイの眉間に縦皺がくっきりと刻まれる。
「何度でも。だから、グズグズ言わず、私にすべてを任せるんだ。おまえは、私の帰る場所だろう」
「ええ。そうして、あんたは、オレが帰る場所です。………ばかですよ、あんたは」
「おまえと同じくらいにな」
 ふたりが、顔を見合わせて、笑った。

「大佐っ!」
 エドワードとアルフォンスがたゆまず架けつづけた橋が、そのときようやく、ふたりが立つ橋と繋がった。
「早くっ」
 エドワードとアルフォンスが叫ぶ。
「行くぞ」
「はい」


 長い夜が明けた。
 寝室に、カーテン越しの朝日が差し込む。
「結局もとの鞘なんだよな」
「にいさんってば」
 ため息をついたエドワードを、弟がたしなめる。
「すまんな」
と、ロイ。
「悪かった」
と、骨と傷口とを治療されベッドの上に横たわったままで、ハボックが苦笑いを返す。
「いいんだね、それで」
「ああ。ふたりで話し合った」
「後悔はしない?」
「しない」
「ああ」
「じゃあ、オレがふたりに逢ったことは、誰にも言えないんだな」
「私は、疾うに死んだ人間だ」
「オレも」
「わかった。オレは、ここを出たら、しばらくあちこちふらつくよ。セントラルに戻るのはそれからだ」
 ――そうしたら、みやげ話も増えるから、オレはあんたたちのことを忘れてるだろうしな。
 エドワードが、いたずらそうに、しかし、瞳の奥に痛みを潜めて、付け加えた。
「必要なものがあれば、持って行くといい。もう、私たちには必要がないものだ」
「荒野を越えるのは大変だろうしな」
「助かるよ。遠慮なく。それと………」
 ひょいとエドワードがジャンの顔の上で上半身を傾けた。
「っ!」
「鋼のっ」
 絶句するジャンと、叫ぶロイ。
 そんなふたりに、
「失恋記念だよ」
 エドワードが、にやりと、笑った。
「じゃあ、ふたりとも、オレたちはそろそろ、行くよ」
 いつまでも元気でということばを飲み込んで、エドワードが、手を振る。その後ろでは、アルフォンスが、頭を下げている。
「もう行くのか」
「荒野を越えるのは、時間がかかるからな。それじゃ」
 今度こそ、別れを告げて、ふたりは、ドアをくぐった。
「いろいろ世話をかけて悪かった」
「ありがとう」
 ロイとジャンのことばに、背中を向けたままふたりは手を振った。
 流れる、涙を、見られたくなかったのだ。
 こうして、エドワードとアルフォンスは、かつての上司と片思いの相手に別れを告げたのである。



 それから一年後、かつては荒野の一軒家であった石の家を訪ねたエドワードとアルフォンスは、その地の変貌に目を見張った。
 家の周囲の緑は、石の家を飲み込み、少しずつ版図を広げている。
 ロイとジャンの骸と想いを苗床に、いずれ、荒野は、豊かな森へと姿を変えるだろう。
 どちらか片方だけでは、生きられなかった、運命の恋人たちを思い、エドワードとアルフォンスは、かつて石の家があった方向へ頭を下げた。

 一年前には聞かれなかった、小鳥たちのさえずりが、今はまだ森とは呼べない緑の繁から聞こえてきた。


おわり

15:21 2003/12/20
21:48 2003/12/22
あとがき
Left Hawk Land さま閉鎖のため、差し上げ物頁より移動させていただきます。
 書き上げ直後のあとがきが残っていたので。↓
 章立てが小刻みやな。読みにくくないといいんですが。
 最初の思惑は、『燃えさかる納屋』……このSSの舞台は納屋じゃないんだけど、はじめ頭の中に浮かんできたのがなぜかその小説の納屋が燃えてるシーンだったのですけど、うだうだと伸びるにしたがって、こんなになりました。
 白い崖に赤い荒野って、そんな地形がありえるのか、地理に弱いので、ご容赦ください。
 地震、ここまで揺れたら津波が起こりそうですが、あまり地震のない国ということで、大きく感じたんですよ。慌ててるんだと、思ってください。
 しかし、原稿用紙で53枚。長いですね。長い上に、乙女が入りまくりです
。  それでは、少しでも楽しんでいただけますように。

こちらの画像は、 STUDIO MUさまよりお借りしています。


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