トルンカ〜金田一少年バージョン 〜


 こつこつ……
 ことと………
 マリオネットが闇に舞う
 男の子のマリオネットはあなたに
 女の子のマリオネットはわたしに
 
「金田一玲子を………息子です。息子のはじめと娘のフミが来ましたと伝えてください」
「金田一さまですね。少々お待ちを………」
 門番が門の奥に消えてゆく。
「聞きしにまさる屋敷だな………」
 ここに来るまで、それなりの情報は仕入れている。
 もともとヨーロッパの小領主の領館だったという、馬鹿げて広い敷地がなければ浮いてしまいそうな石造りの建物。
 庭の木々のはるかかなたに、塔らしき尖った屋根が2つ3つほど聳えて見える。
 高遠家といえば、かつてこの地の領主だったというほどの家系らしい。そこの当主に呼ばれて、母――とはいえはじめにとっては3度目の、とフミにいたっては2度目の母になる――がここを訪れてすでに一月近くが過ぎていた。
 ここの当主と母とがどういう関係だったのかは、知らない。
 一月前のあの日、黒く縁取られたはがきが届いたのだ。
 高遠秋一郎と印刷された名前が、はじめの記憶に残った。
 数日間悩んで、母は決意を決めたらしい。
『すぐには帰れないと思うから…フミちゃんの面倒をたのむわね』と、そう言って出て行ったのだ。
 母の宝物でもある、トルンカという名のマリオネットをトランクにしのばせて。
 毎晩電話がかかってきた。
 しかし、やがて、それも途絶えた。
 意地っ張りのフミが口にするはずはなかったが、淋しがっている。父も死に、やっと母と3人の生活に慣れてきたやさきのことだったから。
 最初に、不安のあまりキレたのはフミだった。しかし、はじめだとて同じ気持ちだった。どちらにしても、ふたりして我慢の限界だったのだ。
 父が選んだにしては3度目の母は上出来過ぎるほどの知的美人だった。どうやって知り合ったのか、照れて教えてはくれなかったが。父のほうが選ばれたんじゃないか――と、はじめは思っていたりする。
 おひとよしで懐の広い、父。母性本能を掻きたてるのか、妻という存在に縁がないのか。単に惚れっぽいだけなのか。それとも、ネクロフィリア(死体嗜好)の気があったのか。はじめの母ともフミの母とも死別だった。
 あたたかい家庭だったと思う。
(かあさんもなぞの人だからな)
 わかっているのは、父と結婚する前の母が近宮玲子と言ったことぐらいだ。
 まぶしいくらいきれいな、生命力に満ちた、母。
 フミの母が死んだのは、フミが生まれてすぐのころだったから、ふたりして彼女を『かあさん』と呼ぶことに悩みなどなかった。
 ふたりして、嬉しかったくらいだ。
 少しくすぐったいような響きの、『かあさん』という単語に馴染むのは大変だったけど。
 そうして3日後、じりじりと心配していたふたりのもとに一通の手紙が届いた。
『はじめくん、ふみちゃん、元気ですか。色々あって、電話できなかったの。心配かけてごめんなさい。ふたりに会わせたい人がいます。新幹線のチケットを同封しておくから、ここに来てください。待ってます。母』

 雪が降る。
 錬鉄の飾りが繊細な門扉の上にも、雪はつもる。
 着いたのは、夜だった。
「まだかなぁ。はじめ」
 フミの口からこぼれた白い息が、空に上ってゆく。
 はやく、母に会いたいのだろう。すぐに母に会えると思っていたフミにとって、待たされる時間はイヤになるくらい長く感じられるのだろう。
「まぁまてよ。フミ、おまえはほんっとうに堪えしょうがないな」
「はじめに言われたくないよっ! さむいんだもん」
 生意気な口調で返しておまけとばかりにぷんっと、そっぽを向く。10才も年下の妹に呼び捨てにされるのも、慣れてしまえばどうということはない。はじめもまた、父に似て懐の広いおひとよしな性格をしているのだ。
 まるで息が凍えて雪になったかのようだった。
 こうして戸外で待ちつづけて10分近く。
 足踏みだけで我慢するのも限界だった。      
「さむ………」
 思わず自分で自分を抱きしめてはじめが独り語ちた時だった。
 さくっさくっと、雪を踏む足音が近づいてきた。
「金田一一さまと、妹の二三さま? わたしはこの家の執事をしている長崎巧四郎といいます」
「はじめまして」
 ほぼ前世紀の遺物に近い執事と名乗られて、納得できる。50くらいだろうか、いかにもひとあたりのよさそうな男性だった。
「東京からいらしたそうですね」                  
「はい」
 フミがぶりっこをしてぴょこんと頭を下げた時だった。
 はじめが何気なくそらした視線の先、深い木々の木立の隙間に白い人影があった。
「あっ。かあさん……!!」
「どこ? はじめっ。かあさんどこ?」
 フミにしがみつかれて「あそこ」だと指し示した時、そこには、もう人影はなかった。
「金田一さま!?」
「そこに。かあさんが…あの人形を持ってたし絶対母さんだよ」
「玲子さまが? いいですか、玲子さまがここにいるわけないんです。絶対に!!」
 言い切る長崎に不安を覚える余裕もなく、
「絶対だってば………」
 はじめはつぶやいた。
 ざわざわと庭木が風にあおられる。
「………こんな雪の夜には、あるはずのない幻が見えたりするんですよ」
「長崎さんはロマンティストなんだな。残念だけど、オレはリアリストなんだ!」
「そうそう。だから女の子にもてないんだよね」
「バッ…フミッ!!」
 まぜっかえすフミに、真っ赤になって怒鳴るはじめだった。
「楽しいかたですね………」
 ハッハ…と、楽しそうな長崎の笑い声が、雪の庭に響き渡った。

※ ※ ※

 長崎さんは用事があるとかで、館に着くなり家政婦だというツンケンとしたオバさんに紹介された。
 その人についてゆくより方法もなく、なんとなく黙りこくったままぐるっとカーブを描いた階段を上っていった。
 2階部分の突き当たりの扉を開けて、そのオバさんは、
「このお部屋をお使いください」
 といった後、定石どおりのことばを続けた。曰く、お食事は? お済みでしたらお茶をお持ちします―などだ。
 出てゆこうとした彼女をはじめは、
「高遠さんは? ここの当主に話は通っているはずなんだけど」
 と尋ねて、引きとめた。はやいとこ当主に会って、母さんのことを知りたかったからだ。でないと、不安でたまらなくなる。
 しかし、そんなことはどうでもいいことなのだろう。そうにちがいない。家政婦の返事は、
「長旅でお疲れでしょうから、今夜はひとまずお休みを…とのことです。堅苦しいご挨拶は明朝になさってください」
 どうにもこうにも、マニュアルどおりのものだった。
(ふんっ! マニュアル世代だからってオレたちのこと馬鹿にするわりには、年寄りだってマニュアルに頼ってるよな)
 堅苦しい挨拶なんかしたくはなかったが、しないで済みそうな雰囲気ではない。
「なんだよ。格式ばって、陰気臭くて。なにさまだっつーの。オレたちは母さんに会いにきただけなんだぞ。なのにっ! 大っきらいだ〜」
 ひとしきり喚いてはぁ〜っと、溜息をつくはじめだった。
「すっごい部屋だよな。この部屋だけでうちの敷地の半分はあるよな」
 部屋中を見て回って、「きゃーっ!!」とでも感激するなら可愛げがあるのに。
 そう思いつつも口には出さない。
 そんなことを口にしようものなら、10倍にもなって返ってくるのがわかりきっているからだ。
 ベランダにつづく窓から見えるのは、夜の闇に沈んだ深く広い湖。
(庭に池でも贅沢だってーのに。湖だもんな)
 呆れるのを通り越して、脱力するはじめだった。
 ごそごそとポケットを探り、はじめは手紙を取り出した。
 くしゃくしゃの手紙。
「あ〜はじめっ。それっ。母さんの手紙っ」
 目敏くそれを見咎めたフミが、叫ぶ。
 くたびれたそれを開く。
 フミを振り切ってベランダに出たはじめは、手摺にもたれて手紙を読むともなく眺めた。
(会わせたいひとって誰だろ)
 用件だけの手紙からは、何もわからない。
 ただ、母の愛情だけが感じられた。
「さむっ」
 ぶるっと胴震いをしたはじめが、部屋にもどろうと体重を移動させた時、音を立てて手摺が崩れた。
「うわっ」
「はじめっ」
 咄嗟に蔦に手を絡めて助かったものの、この寒空に湖に落ちていたらと思えば、遅まきながら鳥肌が立った。
「手紙………」
「ばかはじめっ! 母さんからの手紙飛ばしたな」
 ガクガクと、首根っこを掴んでゆすぶる。
「フ、フミ、よせって。なに言ってんだよ。助かっただけでもめっけものだって。そのうち探すから」
「ほんとだな? ほんとに探すんだな! ならいいよ。………そうだ、あんまりはじめが悪口言うから、家が怒ったんだ」
 一転きゃらきゃらとフミがからかう。
「バカ言え」
「こんな古い家なんだし、わかんないよ〜」
 うらめしや〜と、顔の前で垂らした手を振るフミだった。

はじめくん
 ふみちゃん
 よういち………
 葉擦れの音が庭を渡る。
 雪はやみ三日月が白々と庭を照らす。

こ…つこつ
 とんとん……
 ことととと…………
(風? 木の枝が窓を叩いてんのか)
 新幹線で3時間。疲れのせいで、からだはベッドに沈み込み、意識はともすれば深い眠りに取り込まれてゆく。
 こつこつ
 ことこと…
 なにか固いものが床か何かに当たっている音。
(違う。あれは…、母さんがよくやってくれた。マリオネットがたてる音だ)
 こつこつ
 とん…とん…
(フミが好きなんだよな。うん。オレも。lまた、やって見せてほしいよな。かあさん………)
 とん……………

目覚める寸前まで、マリオネットの劇を見ていたような気がする。
「はじめ。おきろって」
「起きないと朝飯食いっぱぐれるぞ」
「もうっ知らないからな」
 プンプンと怒って二三が部屋を出てゆくのを、半分だけ目覚めかけた意識が捉えていた。
 結局、はじめが起きたのは、昼だった。
 腹の虫が飯を食わせろと自己主張をして、それでもしぶしぶとベッドから抜け出したのだ。
「ふ…わぁ〜」
 盛大なあくびといっしょに伸びをする。と、甘い芳香がはじめの鼻孔をいっぱいに満たした。
「バラの?」
 独り語ちてなんとなく誘われるように庭に出たはじめは、ギョッと立ち止まった。
 庭に広がっているのは、深紅のバラ。
 まるで、血のような、暗い色を宿した薔薇の園だった。
 刹那目を奪われていたはじめは、薔薇のかなたに人影を見つけた。
「お…おはよう」
 はじめの声に振り向いたのは、
 遠目にもわかる端正な容貌の……。
 思わず走り出したはじめは、相手に抱きつき、ひとしきり呼びかける。
「かあさん。かあさん………会いたかった。フミだって、心配してんだぞ」
「きみが、金田一くん?」
 声が上から降ってくる。
(上? 母さんいつの間にこんなに成長…ばか、そんなことあるはずないだろ)
 心の中で独りボケとツッコミを演じ、ガバッとからだを離した。
 はじめよりこころもち高い場所にあるのは、母によく似た、それでも幾分か母よりも線の細い、けれどどう見ても男でしかない顔だった。
「ぼくは高遠遙一。この家の当主です」
「当主? 遙一?」
「そう。きみは、はじめくんだったかな。血は繋がっていないけど、ぼくたちは、言ってみれば兄弟になるんですよ。ぼくが、5才きみより年上ですね」
「へ?」
 思いもよらないことに、はじめの目が点になる。
「ぼくは、君の兄ということです」
「あに?」
「ええ」
(兄〜??? そんなの聞いてないよ〜)
 思わず地面に懐きたくなったはじめだった。
「母は、近宮玲子は、ぼくのこと一言も話しませんでしたか」
 結局その場にへたり込んだはじめを相手に、遙一が話す。
「きみときみの妹、フミちゃんのことは、母が話してくれましたよ。とってもいい子たちだって。特に、はじめくんとは、いい友達になれるだろうってね………」
 花ばさみがかすかな音をたてるたび、遙一の腕の中に深紅のバラが増えてゆく。
「母に呼ばれたんだけど………」
 金色に近いような、琥珀がかった褐色のまなざし。
 幾分か薄いくちびるの端が、こころもち笑みを形作る。
「母は……」
「どうぞ。クリムゾン・グローリー。母が愛したバラです」
 繊細な先細の白い手がひるがえり、深紅のバラが一枝差し出された。
 グゥ〜キュルルル………。
 とつぜん、不思議な雰囲気を破って鳴ったのは、はじめの腹の音。
「今朝朝食を摂りそこねたようでしたね。そういえば」
 くっくっくと笑いながら、遙一が独り語ちる。
 へへ…と、笑うはじめだった。
「食堂を探していたんですね。長崎に案内させます。はやくしないと、昼食にもあぶれますよ」
 ポケットから携帯を取り出して、何かを命じている。その姿は端然として、つい見惚れずにはいられない。
(母さんによく似てる………)
「失礼します。バラを持ってゆかないと」
 遠ざかってゆく後姿。
(ほんと、いいとこのボンボンだよな)

『母さんの宝物なの? その人形』
 まだフミが幼稚園のころだったか、そう聞いたことがあった。
『フミちゃん。これはね、マリオネットというのよ。ほら、これをこう使って、動かすの。こんにちわ。フミちゃん。ぼくはトルンカ。ルージーという恋人がいるんだ』
『うわ。お母さん上手。……じゃあ、ルージィは?』
『ルージィは、遠くにいるの。母さんの…はじめくんやフミちゃんと同じくらい大切なひとが、持っているの』
『持っているのよ』
 くるくるとバラの枝を手の中でもてあそびながら空腹を忘れて思い出に耽っていると、
「金田一さま」
 背後から声がかけられた。
「長崎さん」
「食堂はこちらですよ」
 長崎が先に立つ。
「ごめん。仕事が忙しいだろ」
「お気になさらずに。広いですからね。この家は。はじめてのお客さまはどうしても迷われるんです。さあ、どうぞ」
 長崎にしたがって、向きを変える。その時、ふと、はじめの視界の隅に鈍く光を弾く十字架が映った。
 二つ並んだ十字架。
(えっ? …まだ新しい。………クリスチャンの墓だよな)
「お早く」
 そのことばに、十字架のことを忘れる。
 とりあえず、自分の腹を満たすことのほうが、優先順位としては上だった。

長いテーブル。
「はじめ。遅い」
 フミがこそりと耳にささやく。
(辛気臭いよな)
 にぎやかな金田一家の食卓とは全然違う。もっとも、それも、父が死ぬまでだったが。それでも、母がいるだけで、食卓は暖かだった。
(まるで、お通夜だ)
「はじめ。あの上座にいるのが、ここの当主、高遠遙一だって。で、その向かいにいるのが、高遠小夜子。遙一のとーさんの妹なんだってさ。家族はこれだけ。で、あとは、遙一の家庭教師。文系に理系に、ピアノの教師なんだって」
 ごにょごにょと、フミが説明してくれる。
「はじめが朝来ないから、食べた気しなかったんだからな」
「わるかったってば。起きれなかったんだよ」
「寝汚いヤツ」
 チロリと視線を送ると、遙一は先ほどとは別人のようだった。
 表情がまるでない。そう。まるで、母の宝物。マリオネットのトルンカのように。
 それに、遙一の右隣、母が遙一の母だというのなら彼女の席になるだろう場所が、空席だった。
 不吉な予感。
 それとも、離婚してるだろうから、そこじゃないのか。
 食べることも忘れて眺めていると、
「お答えしましょうか。はじめくん。…ここにはアーサー王の円卓の騎士が座るんです」
「へ?」
 唐突な発言に、目が点になる。
「遙一さんっ!!」
 小夜子が鋭く叫ぶ。しかし、
「それも、13番目の席だ…」
 と、遙一はつづける。
「遙一さん。無作法ですよ」
「おっと、小夜子叔母の逆鱗に触れたようですね。クスクス………。はじめくん、ご存知ですか? 円卓の13番目は、悪魔の席。この世ならぬものが、座る………んですよ。それでは、邪魔者は退場しますから皆さん、昼食をごゆっくりどうぞ」
 そう言うと、まだクスクスと笑いながら遙一は食堂を出て行った。
「ごちそうさん」
 はじめが手を合わせ立ち上がった時だった。 
「はじめさん。ちょっとよろしいかしら」
 高遠小夜子がはじめを引きとめた。
「は?」
「話したいことがあるので、これから一緒にお庭を散歩しましょう」
(かあさんのことかな)
「あたしも行くっ」
 フミが割り込むが、
「ごめんなさいね。フミさん。わたくしは、おにいさんにお話をしたいの」
 にっこりと微笑みながら、それでもきっぱりと拒絶する。
(うわ)
 あとのフミの癇癪が怖くて、はじめが思わず首をすくめる。
「はーい。…はじめに喋るんだったらあたしだっていいじゃんか………」
 お返事よい子のあとにぼそりとフミが呟いたことばは、幸いにも小夜子には聞こえなかったようである。

フィットンチッドにあふれた、小春日和の小道をはじめは小夜子と並んで歩いていた。
「遙一さんの言ったこと、気にしないで下さい。気まぐれなんです………。そういえば、昨夜はベランダの手摺が崩れたとか。古い屋敷ですから。すみません。今日中に直させておきますから」
「おかげで手紙が」
「手紙?」
「母から手紙が来て、それでここに呼ばれたんだけど…」
「いつのです?」
「え…と、一昨日だよな。会わせたいひとがいるからって」
「昼食の時もいなかったし、今朝もいなかったってフミが愚痴ってたし、母は、どうしたんです?」
 そう言って正面から対峙する。
 どこか困惑気な表情で、小夜子がはじめを見返す。しかし、その瞳ははじめを見てはいない。
「高遠さん!!」
「え…」
「母は、もしかして病気なんですか?」
「ええ…。ええ、まあ、そうですわね。……なにしろ、5日前に葬儀を出したんですから」
 思いもよらない小夜子のことばに、刹那はじめが固まる。
「……ジョークでしょう? 高遠さん。いつ母に会えるんです」
 5日前に葬式を出したというなら、母はそれ以前に死んでいなければおかしい。一昨日手紙が届き、消印は、3日前だった。それに、
(もし仮りに死んだとして、家族に内緒でなんだって勝手に葬式を出すんだ)
 どう考えても、それは、小夜子の悪い冗談としか思えなかった。
「冗談を聞きたいんじゃないんです。フミはまだ小学二年です。母親が必要です」
 はじめが詰め寄ったその時、だった。
「小夜子さま。お電話です」
 昨夜の家政婦が小夜子を呼びにきた。
「ごくろうさま。…はじめさん。ごめんなさい。あとでね…」
 あわただしく館に引き返すふたりを見送るしかないはじめだった。
「わかったよ。遙一さんにでも聞くさ」
 そうしてふたりから少し遅れて引き返したはじめは、ちょうど行きあった使用人に遙一がどこにいるのかを尋ねた。
 しかし、誰に聞いても答えてくれるひとはいず、苛立たしさに地団太を踏みたくなる。
「わーったよ。自分で探せばいいんだな自分で」
 ふんっとばかりに、手近な部屋のドアを開ける。
 何度かそれを繰り返し、はじめの泊まっている部屋の真上に当たる部屋のドアをあけたときだった。
「かあさん?」
 ふっと鼻先をかすめたもの。それは、母が身につけていた香水のかおりと同じ匂いだった。
 かすかな、バラのかおり。
「かあさんっ」
 女性好みの繊細な調度品。
 カードテーブルの上には年代ものらしい花ビンが。その中には………。
『バラを持ってゆかないと』
 クリムゾン・グローリー…深紅のバラが活けられている。
 しかし、
「変だ。この部屋の空気は、死んでる」
 部屋を見渡すと、いたるところにマリオネットやそうじゃない人形が飾られている。
「トルンカッ!」
 見間違うほどトルンカに似ている。
 椅子の上にぽつんとひとつだけのっているトルンカによく似た人形を抱き上げ、はじめが踵を返す。その時、ふと、ライティング・ビューローの上にある便箋に視線がとまった。
 見覚えの或る便箋だった。
「母さんの手紙と同じ…」
 淡い藤色の紙の四隅に、金色の飾り模様が印刷されている。
 ぼんやりと眺めていたが、
「ん? 何か書いて……人…形? …………人形遣いが死んでも操りの糸は生きていて、日ごと夜ごとぼくを支配しつづけるのだ………???」
 読み終えた時だった、開いている窓から一陣の風が流れ込み、カーテンをバラのはなびらを吹き上げ散らした。
「なんじゃこりゃ。すっげロマンティストー。遙一さんかな?」
 あの線の細い青年には嵌まりすぎているような気がした。
 脱力して、椅子に腰掛ける。
 眼下の湖。
 深く豊かな常緑樹の緑。 
 昨日の雪が嘘のような、小春日和。
 窓が開いているというのに、ぽかぽかと暖かい。
 いつの間にか眠っていたらしい。
 椅子の背もたれに伏せている自分に、ふっと気づいた。
(いつの間に…寝たんだ……あ、)
 あんなにきもちよく晴れて窓の外からは春めいた風さえもが吹き込んできていたのに、白い霧がゆるゆると蠢いている。そうして、霧を従えるように、人影が。
(かあさん…)
 はじめがそう思った時だった。
 人影がはじめのほうを振り返った。
(かあさん。死んだなんて、やっぱりあの人の冗談だったんだ)
 くちびるの赤が印象的なほど青ざめて、髪の毛が濡れている。
 呼びかけようとして、声が出ないことに気づいた。
(動けない。……夢? 時々見る悪夢)
 母が、部屋が、揺らぎ歪む。
 色彩さえもが、ネガポジ反転したかのように。
 背中に重力がのしかかってくる。
(かなしばりの悪夢は振り切れば解ける。指の一本でも動けば………)
 くっっと手に力をこめる。
 どれくらいそうしていただろう、不意に指が動いた。
 途端、重力を感じなくなり、色彩が正常にもどった。
 コンッ
 コンコン
 振り向いたはじめは、そこに遙一を見つけた。
「ぼくをお呼びだそうで。ご用は?」
 緊張が解けて、爆笑せずにはいられなくなる。
 腹の皮が捩れるほどひとしきり笑って、頭が痛くなる。
「はじめくん?」
「いつまでこんな茶番を続けるきなんだ? 遙一さん、母さんはどこ?……もうそろそろ会わせてくれてもいいだろ」
 そう言って遙一の顔を凝視するはじめに、すっと、窓の外を指し示す。
「?」
「見えますか?」
 はじめの背中に回した腕に力を入れる。
「見えるって、あの十字架の墓のことか?」
「そう。…父です。そして、母です!!」
「…………」
「うそ」
「6日前です。湖に足を滑らせて」
 遙一のことばが、脳を射る。
「うそだっ」
 気が遠くなる。
「はじめくんっ?!」
 叫ぶ遙一の声が、幾重にもこもって聞こえた。

「エッエッ…クッ……ヒック………」
 フミが泣いている。
 気丈な妹が、しかし本当はとっても涙もろい淋しがりやだとはじめはよく知っている。
(フミ……)
 カウチに横たえられたはじめの傍らで、フミが泣きじゃくっている。
 カードテーブルの上に飾られているクリムゾン・グローリー。ぼんやりとそれを眺めているはじめの額には、固く絞った濡れタオルがのせられている。
「2月の水はとても冷たくて、母の命を奪ったのだろうといわれています。というのも、ぼくはその前後酷い肺炎を起こして意識不明だった」
 ゆっくりと起き上がったはじめに、はじめの目の前から遙一が移動する。
「目が覚めた時には、葬式の相談を受けたのです」
 飾り棚からワインのボトルを取り出し、グラスに注ぐ。
「6日経つのに、母は見つからない。あの湖は………深いですからね。そのうち噂がたちはじめた。『高遠の前の奥様は帰ってきて自殺したらしい』そこであわてて、葬式だ。バカバカしい。君たちに連絡すらしないで! ……どうぞ」
 グラスを受け取り、口をつける。
 ざらりとした口ざわり。
「かあさんは、自殺なんかしない」
「ええ。わかっています」
「父の死の報せは、嘘だったんです」
「えっ?」
 遙一を見上げる。
「母が父のもとを去ったのは、ぼくが12才のときのことです。父は、愛で相手をがんじがらめにする。………そう。必ずしもいいひとではなかった。母が自分以外の者を見ることは許さなかった。それが、たとえ、息子であるぼくでも…です」 
「そんな」
「本当のことです。憎しみと愛とは紙一重だと、あの頃のぼくは思っていました。きつい、愛情でしたよ。見ているぼくですらハラハラするような、張りつめきった。そうして、ついに、母は耐え切れなくなったんです。ぼくに何度も謝って、涙を流しながら、出てゆきました。ぼくも、ついて行きたかったんですが、それは、祖母が許さなかった。『母は死んだのだと思え』それが、父と祖母がぼくに言ったことばです。ルージィだけが、ぼくに残された母の形見になりました」
 見ればフミは泣き疲れて眠っている。
 そっと、自分が座っているカウチにフミを抱き上げ、膝枕をする。
 そんなはじめを眺めながら、
「やさしいお兄さんだ。妹は、可愛いですか」
「さあ、どうだろ。こにくたらしいって思うときのほうが多いかな。こいつが特に生意気だからかもな」
「けれど、父は母を諦めてはいなかった。もともと、父は母を心底愛していましたから。たとえ、彼特有の紙一重のような愛でも。一方的に断ち切られたのですから未練はあったでしょうし。10年かかって、父は母を見つけたのです。けれど、父は病に伏せっていました。そうして、どうしても母を呼び寄せたかったのでしょう。偽りの自分の葬式を演出するくらいに………。それが、一月前のことです」
 はじめは信じられなかった。
「いくらなんでも、自分で自分の葬式を演出するか? ほんとうに、母さんのことを愛していたのか? ほんとに?」
「おそらく。父は父なりに母を愛していたのでしょう。結局、父は母とあったその2週間後に本当に亡くなってしまいました。母に最後に会えて、気が弛んだのでしょう。最後まで母に看取られて、幸せそうでしたよ」
「じゃあ、葬式の手配とかしたのも母さんなんだ」
「ええ」
「母さんが死んだのは、その何日後?」
「ほぼ1週間後ですね。なにか?」
「いや………」
 作為の匂いを感じた気がしたのは、穿ちすぎなのだろうか。
「母の棺の中に、なにが入っていると思いますか? トルンカです。母が作った最初の人形。ルージィと対の」
「今、ぼくは感謝していますよ」
「へ?」
 マヌケな顔で遙一を見返す。
「父の死を。父が死んだおかげで、きみたちがここに来てくれた。ずっといてくれるでしょう?」
「で、でも………」
「母はぼくに言っていました。新しい弟と妹をきっと気に入ると。母の言ったとおりでした。ぼくは、きみたちを、弟と妹として歓迎しますよ」
 にっこりとほほえまれて、狼狽える。
「そんなこと、急に言われても」
「会わせたい人がいる。そう、母は手紙に書いていたのでしょう」
「どうして…。あんたが?!」
 どうして、死後に母が手紙を出せたのか。それは、こんな簡単なことだったのだ。
「そうです。母が死ぬ前日に書いておいた手紙なら、ぼくが封をして出しましたよ。会わせたいひととは、新しい兄のこと。そう、ぼくのことですから」
「なんだ。悩むことなかったんだ」
 ハハ…と、虚ろな笑いを響かせる。
「なら、ここに、いてくれますよね。ずっと」
「え、と…それは………」
「17才で、世間に放り出されて。フミちゃんは、施設に行かなければならないでしょう? きみが引き取ることは未成年だし、経済的にも無理じゃないでしょうか」
「金田一の姓をなくしたくない」
「それなら、大丈夫。べつに、無理矢理籍に入れとかそんなことは言いませんから。ただ、一緒にここで暮らしましょうと言っているだけですよ」
「……それなら、いいか、な」
「なら、きまりですね」
「え、ちょっと…ちょっとまって。もう少し考えさせて」
 はっしと遙一の手を掴んで叫ぶ。
 ほんの間近に高遠の顔がある。
 高遠の顔が近づいて来る。
 え? と、思った時には、くちびるが合わさっていた。

円卓…。13番目の席。
 食卓に着けばイヤでも意識せずにはいられない。
 騎士が死んでもそれを上回る英雄でなければ、座ることを許されない。鉄則を破るものには、雷がくだる。
 なら、あの時遙一が言った『人ならざるもの』とは、母のことではなく彼の父のことだったのだ。
 母ではなく、母の夫だった人物。

コトコトコト
 トントントン
 カタカタ………
(あの音)
 ベッドの上で上半身を起こしたままぼんやりとしていたはじめは、マリオネットがたてるのに似た音にビクンと震えた。
 音は、はじめの部屋の真上からするようだった。
(母さんの部屋?!)
 そっと足音をしのばせて、3階に上がったはじめは、真上の部屋のドアをそっと開けた。
 誰もいない。
 レースのカーテン越しに窓を見るが、掛け金もしっかりかかっている。
 窓の外では、木々がしなって揺れている。
(風の音か?)
「あっ!」
「いっけね。母さんの手紙。探そう探そうと思って忘れてた………」
(いつフミが思い出すかわかんないからな探しとくにこしたことがない)
 あわてて庭に出る。
「オレの部屋があそこだから、たぶんこの辺だよな………さっむ〜」
 がさがさと、植木の間も探る。
「ないな」
「池に落ちたか。やべ。フミが拗ねるぞ………」
「だれだっ」
 バッと振り返る。
「へんだな。誰か見てると思ったんだが」
 カサカサと反対の方向から下生えを踏み拉く音がした。
「だれだっ」
 もう一度誰何する。
「びっくりした。はじめくん。どうしたんです? こんな夜中に」
 現われたのは遙一だった。
「なんだ。遙一さんか」
 と、言った後で、真っ赤になる。
 昼間のキスを思い出したのだ。
 あの後はじめは、部屋を逃げ出し、後からフミにさんざん怒鳴られた。
『ひとりにしやがってー!! おまえなんか兄弟じゃないや。薄情ものっ』
 フミの剣幕に反論もないはじめだったのだ。
「なんだとはご挨拶ですね。なにをしてるんです」
 しかし、遙一は昼間のことなど忘れたのか、いつもの通りの整った容貌を崩しもしない。
「母さんの手紙を最初の日に飛ばしたんだよ。ベランダが崩れてさ」
「ああ。聞いていますよ。一応修理したとはいえ、古い家ですからね。部屋は変えたほうがいいと思いますけど。何かあってからでは、遅いんですよ」
「別の部屋を物色しておいてくださいね。部屋数だけは腐るほどありますから」
 そう言うと、遙一は引き返して行ったのだ。

熱い珈琲を眺めながら、はじめはため息をついた。
 手紙が見つからないのだ。
「近頃顔色が悪いですよ。はじめさん」
 小夜子が見かねたのか、声をかけた。
「た…小夜子さん。呼び捨てでいいよ」
「もっとも、遙一さんの顔色もずいぶんと悪いですけどね」
 手紙を探すので3晩も眠っていない。
「あ〜! もう限界だ」
 ベッドに倒れこみ、はじめは沈みこむように睡魔に囚われた。
(あ…まただ………)
 真上の部屋で、姿のないマリオネットの舞踏会が始まる。
 トルンカとルージィ。
 1対のマリオネットがくるくるとステップを踏む。
 母のマリオネットと、遙一のマリオネット。
 母と子は驚くほど似ている。
 おそらく、トルンカとルージィも。
 似ているのだろう。
(似ている?)
 突然の覚醒。
 ベッドから飛び降り、はじめは1階へと駆け下りた。
 3階の遙一の部屋へと。
 遙一はいなかった。
 サイドボードの上に、マリオネットが一体。
「これが、ルージィなわけだ」
 バタンと、大きな音を立てて、ベランダ側の扉が開いた。
 どこか正気をなくしたような、琥珀色がかった褐色の瞳。右手にはトルンカを抱えている。
(3階の母さんの部屋で、マリオネットを操っていたのは、遙一さん。あなただったんだ)

死んでも操りの糸は生きていて、日ごと夜ごとぼくを支配しつづけるのだ………

「ちがう。あんたは独りぼっちが、怖いだけだ」
 遙一の襟首を掴み、叫ぶ。
「目を覚ませ。遙一さん。誰があんたを操るというんだ。祖母さん? 父親? だれだっていいさ。祖母も父親も死んだんだ。もういない! あんたは、ふたりの人形なんかじゃない。人間なんだ。立って、目を覚まして、そうして、糸を切って歩くんだ」
 カターン…………
 音を立ててトルンカが床に転がる。
 遙一がぐらりと揺らぎ、その場に頽折れる。
 床で怪我をしないようにと抱きかかえ、
「母さんを助けられなかったのは、あんたの罪じゃない。独りで苦しむことはない。独りで悲しむことはないんだ!!」
 どれくらいそうしていただろう。
 ふらりと遙一が揺らいだと思えば、
「はじめ、くん? なんで君がこんなところに…どうしたんだろうなぼくは………。気持ち悪い夢だった。人形がぼくを呼ぶんだ。父や祖母や母の顔をした人形たちが…墓の中から。だからぼくは…トルンカを………そして…その向こうに…………なんだったんだろう!?」
「遙一さん。眠ったらいい。うなされたら何度でも起こしてやるよ」
 遙一をベッドへと抱えて運ぶ。
(操りの…糸は、切った………)
「トルンカ。ルージィ。もう劇は終わりだ」
『なにが入っていると思います? トルンカですよ。トルンカ………』
『なにが入って………』
「じゃあ、今は、なにが入って………」
「予想外でしたわ」
「え?」
 振り向いたはじめは、思わず一歩ベランダに後退した。
「小夜子…さ……ん」
「勘のいいボーヤ。そう。わたしが、殺したのよ。秋一郎さんも、玲子さんも」
「なんで…兄さんだろう」
「兄さま…じゃないわ。血は繋がっていないもの。わたくしがどんなに愛していると言っても、あのひとはいつだって玲子さんを、あんな、自分を捨てた女なんかにいつまでもこだわって。あんな重い病気にかかってまで、ずっと、探させたのよ。だから、殺したの。ほんとうは、玲子さんなんかに会わせたくなかったけど。あのひとの最後の望みですもの。しかたなかったわ。どんなに、あの女を殺したいと思ったか。………ほんとうは、わたくしが死ぬはずだったのに! 最後まで忌々しい女だったわ。自殺しようとしたわたくしを止めようとして………代わりに、湖に沈んでいったのよ…………」
「事故じゃないか」
「いいえ。事故なんかじゃない。殺したの。わたくしが、この手で、殺したのよっ」
(狂ってる?!)
 小夜子が近づいて来る。
 しかし、ベランダに出たのが悪かった。
 手摺に阻まれて、逃げ場などない。
「うわっ」
 おたおたとしているうちに、突き出された小夜子の腕が首にからみつき、そうして絞めあげてくる。
「母親のところに行きなさい。会いたいのでしょう……」
 狂人の並外れた力で、ぐいぐいと絞めつける。
(殺される)
 そう思った時だった。
「きゃああ」
「うわっ」
 音を立てて、ベランダが崩れた。

冷たい水。
 血が凍りそうだ。
 心臓が破れそう。
 助けて。
 母さん。
 助けて。
 遙一さん………

はじめくん………

覚えているのは、白い手の残像。
 赤いバラがよく似合っていた。
 冷たい、手…………

「ばかはじめっ! そんなにあたしを独りにしたいのかよっ!!!」
「フミ?」
「妹もわからないのかよ。ばかはじめ! あほはじめっ!」
 涙でぐしゃぐしゃの顔で喚かれて、自分が生きていることを実感する。
「長崎。フミちゃんを寝かせて」
 しゃくりあげるフミを抱え上げて、長崎が部屋を出てゆく。
「はじめくん。よかった。小夜子叔母が全部喋りましたよ。事故だったけど、結局殺したいくらい憎んでいたと」
「そう…か」
 ぼんやりと、近づいてくる遙一の顔を眺めていた。
 落とされたくちづけ。
「愛していますよ」
 ヒクッ! 
 一気に意識が覚醒する。
 両手で口を押さえことばをなくしたはじめを悪戯そうな表情で眺めると、
「おかゆでも持ってきましょう。本気ですからね。覚悟してください。静かに寝ているんですよ。いいですね………」
 真っ赤になったはじめを残して、遙一は部屋を出て行った。
 ガラス越しの陽光が降りそそぐ明るい部屋に、はじめだけが残された。

トルンカが夜中に踊ることは、もうないだろう。
 決して。

         

おしまい
2001/04/03 start
2001/04/04 up
あとがき
なんか、限りなくオリジナル仕様ですね。こんなのでいいかな〜???
ベースつきのストーリーは難しいよ〜(T−T) 玉砕かな??
高遠君ファンの人、ごめんなさ〜い!!
かっこよくしたかったんだけど、ベースが病弱な美少年だったもので。こんなんなってしまいました。
『トルンカ』は、最初に読んだ中山星香さんの作品です。記憶が正しければ、プリンセスって雑誌になぜか2本立てだったはず。『ファンタムーシュ』か『はいどうぞ』だったとおもうんだけど。さて。
それでは、書き逃げです。
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