優末良風土記(うまらふどき)
〜三貴子(さんきし)〜



 集いたるは、わずか、千にも充(み)たぬ眷族(はらから)。
 紫紺の天空にこぼれたるさまの、小暗き漆。
 はては新月まぢかの真夜(まよる)なれば、月かそけく、光微々たる。
 寂(じゃく)たるもとへと集いおりし、眷族らの絶えはてんばかりの息の根に、見よ、窈窕(たおやか)に見える其は、かそけき光にほの見える、雪の肌えに白銀(しろがね)の髪。光を弾くは、紅玉の双眸。
 拝跪(はいき)の礼とるあまたの眷族。
 あまた、同胞(はらから)の求めおりしいまひとたりは、それ、央(なかば)に立ち尽くせる女神の半身なる。

 ゆらり――と、闇が、ゆらいだ。

 現われたるは、男神。なれど、女神の半身にはあらぬ。恭(うやうや)しく捧ぐるそれ―――半身が首級を女神は愛惜しげに抱(いだ)き取りおる。
 厳粛なるさまの、同胞の視線。其のさなかにて、首級は葬らるる。
 いまひとつ受け取りたるは、一振りの剣(つるぎ)。―――タンとばかりに大地へと突き立てる。

 闇、黒々と、微動だにせず。

 逃れ来(きた)るは、ここ、未開の地。
 大戦(おおきいくさ)より落ち延びるには、はるかに堕ちざるほかには道を得ず。
 期待に充ちたる――――かつては絶望の淵を覗きし――――あまた双眸へと、期待に応えんものと、女神は宣ずる。
 この地を、終(つい)の棲み処(すみか)となさん――と。
 女神が託宣へと感応したるごとく、首級を葬りし地は、轟音とともに峻厳なる山へと変貌を遂げん。また、いまひとつ、その地その山その眷族を守るるものたりえんと、剣はまたたく姿を変えたり。
 ――――――真金(まがね)のきらめきもちたる蛇へと。


 これよりのち、女神の産みおとせし三つ柱(みつはしら)の和子(わこ)を称して、優末良の三貴子とまおさく。



up 13:38 2003/09/15



あとがき
趣味です。趣味の中でも、最大級に利己的な。自分しか楽しくないというやつですね。すみません。最近オリジナルアップしてないな〜と。理由はそれだけです。
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