手まり唄 9



◆◆◇◆◆



 己の意思に操られ、次々と憎いものたちを殺してゆく従兄弟の姿を、遠く、どことも知れない空間から、遙一は見ていた。
 従兄弟は、遙一がかけた呪(じゅ)に支配されている。彼の願いでもあり、従兄弟の心の底のわだかまりでもあった憎しみをかなえれば、この場所に必ずやって来る。後は、素直でできの良い傀儡(くぐつ)をねぎらい、眠りにつかせるだけである。
 どことも知れぬ空間は、漆に塗りつぶされたように暗い。ほんのわずかばかりの箇所にだけ、まるでよくできた幻燈絵でもあるかのように、見たいと願うものが映るようである。
 見えるだけで、干渉することはできなかったが、別段遙一に不満はなかった。
 クスクスと、遙一が、笑う。
 従兄弟は、彼自身の望みを優先させたようだ。
(しかたありませんね。まぁ、私にしても、初めてのことですし)
 一番憎い相手は、殺された。それだけでも、上々と言えるだろう。
 あとは、目覚めの訪れない眠りに落ちるのであろうとも、充分だった。
 ほかには何一つ望みを持たない身だった。
 そこまで、考えるともなく考えていた遙一の、ひとならざる色調の瞳が、かすかに眇められた。
 ―――――ふと、痛みにからだを引きつらせながらも、自分に血を啜らせてくれた少年を思い出したのだ。そうして、自分の頭を撫でてくれた、掌のやさしい感触をも、また。
 甘やかな香りに我を忘れ、口の中いっぱいにほとばしった、ねっとりと熱いほどの血潮が、祖より伝わる人外の力を、目覚めさせたのだ。
 天人だったという祖の力が、しかし、憎しみと飢渇とにあえなく歪んでゆくのを感じながらも、母を殺し、自分からすべてを奪い去ったものたちへの恨みは、悦楽とも呼べるほどの感情へと育っていた。
 憎しみに駆られ、身を堕とすのは、これ以上ないほどの悦びを得ることであったのかと、狂いかけた思惟に身もだえる。
 憎む相手をすべて殺しつくすことはできなかったが、――――――これでいい。
 今は。
 逃れた獲物には、従兄弟の呪詛のうちにある。
 自分は、この救いのない喜悦のうちに眠る。この眠りが冷めたとき、残るものたちの命運は、そのときに決まるだろう。
 それを思えば、わさり――と、足元に絡みついてくる茨の棘に、身を苛まれつつ永劫の時を眠ろうと、後悔はなかった。
 ポッポッと、軽い音をたてて、血を吸う茨が花開いてゆく。
 次に自分が目覚めたとき。そのときが、  自分の血を吸って、大輪の花を咲かせた深紅の茨に、遙一は、ひそりと、満ちたりた笑みをこぼした。
 
 そうして、どれほどの時が流れたのか。
 自分の血を啜る花のものとは異なる、甘やいだかおりが、ほのかにたちこめたような気がした。
 気のせいか―――と、苛み(さいなみ)のうちにある眠りへもどろうとした時、先ほどよりもより強く、かおりがたった。
 その香(か)には、懐かしさを覚えた。
 くちびるに滴り落ちた、とろりとぬめる熱いものが、じわりと、遙一の口のあわいから内へとにじんだ。
 その甘さには、記憶があった。
 ――あの少年がいるのだろうか。
 口中に広がる芳しさに、まとわりつく眠りが疎ましいものへと変貌を遂げてゆく。
 あまり良い思い出のない過去に、ひっそりと潜む、慕わしい思い。
 遙一は知っている。
 己を縛めつづける茨の群が、他者よりの罰などではなく、自分自身の罪の意識が具現化したものだということを。
 罰を受けるべきだと、自分が何よりも強く望んだからこその、茨の褥(しとね)であることを、遙一は、知っている。
 そうして、もしも、自分がここから解放されることがあるのなら、それは、やさしく強い心を持つあの少年が訪れた場合だけなのだ―――――と。
 それは、己が己に科した罰が許されるとき。
 万に一つの、真に訪れるか否かもわからぬ、唯一の許しだった。
 身を縛める茨の棘が、弛んでゆく。
 穿つ箇所から棘の抜ける、ひときわの痛みを余韻に、するするとほどけてゆく茨の群。
 ほう――と、深い息をついて、遙一は、目を開いた。


◆◆◆◆◆



 ヒノキの香りが心地好い。
(この林って、こんなに深かったっけか?」
 禰宜の後について歩きながら、ふと思ったときだった。
 まるで昨日今日建てられたばかりのように、ぬめぬめと朱く(あかく)光る鳥居が現れた。鳥居を越えた参堂の奥には、高床式の神殿の姿が見えている。
 導かれるままに、白木造りもみずみずしい建物に足を踏み入れた。
「こちらです」
 立派な両開きの扉を開け、禰宜がはじめを促した。
 はじめは、目を見開いた。
 馥郁とした薔薇のかおりが、鼻をつく。
 どれくらいの広さがあるのか、見当がつかない部屋の中に、深紅の薔薇が咲き乱れている。
 薄暗い室内に、薔薇の中央に横たわる、ひとらしき姿を見出し、はじめは、禰宜に言われるよりも先に、足を踏み出していた。
 薄暗い中でもそうとわかる、整った白皙の青年らしきものは、薔薇に埋もれるようにしてそこにある。薔薇といっても何百もの種類があるが、茨に近い品種なのだろう。うねる茎が棘が、青年を縛(いまし)めているのが、見て取れたのだ。
 痛そうだ―――と、はじめは思った。
 なのに、棘が自分を傷つけるだろうということは、考えてもみなかった。事実、はじめが一歩足を踏み入れるなり、侵入者に薔薇の群が身をよじったのだ。
 一叢(ひとむら)より広がりゆくざわめきが、部屋中の花々に伝わり、まるで花々の大海を割るモーゼのようにはじめの目の前には、一本の道が出現していた。
(う〜ん。なんでもありか?)
 肩をすくめて、はじめがあらためて歩きだす。
 後ろからは、フミを抱きかかえたままで、禰宜がつづく。
 縛められている白皙の青年を見下ろして、禰宜を振り返り、
「で、これは、やっぱ、キスするわけか?」
 フミに付き合って見た、『眠れる森の美女』を思い出しての発言だった。
 よもや、
「それもいいでしょう」
 などと返されようとは、考えもしなかったからだ。
 どうぞ――――と、禰宜がはじめを促す。
 禰宜の色の薄い目は、ただ真剣で、今更断ることなどできないような、きわめてまじめな雰囲気を漂わせている。
(しゃーないか)
 冗談とはいえ、自分から言い出したことだしな。諦めたはじめが、青年の頬にくちびるを寄せる。
 間近に見る青年の顔は、青ざめているものの、信じられないくらいに整っている。
 ひんやりとすべらかな頬に、あと少しで触れる。
 触れれば、彼は目覚めるだろうか?
 おそらく、禰宜の望みは、この青年の覚醒なのだろうから。
「なぁ、こいつが目ぇ覚まさなかったら、オレたち帰してもらえなかったりすんのか?」
 不意に芽生えた疑問をことばにする。
 自分はともかく、少なくともフミだけは帰してやりたかった。
 色の薄い禰宜の瞳を振り返り、その返事を待つ。
「―――そう、ですね……………」
(?)
 ざわりと不快な感覚がはじめのうちに芽吹いたのは、禰宜が考え込みながらも答えようとしたときだった。
 身の内に生じたものが、熱い塊となって、駆け上がる。それは、熱いような痛みである。
(やばい)
と、覚悟を決める間もあればこそ、はじめは口元を両手で覆った。

 ポタリ―――――と、一旦堰を切ったせいで、とめどないものとなったらしい。ぱたぱたと、雨足が激しくなってゆくのにも似た音をたてて、暗い赤の花が、咲きこぼれた。
 鉄錆臭い匂いの、小さな花首が、眠れる佳人の頬に、そのまとう白い着物に、降りそそぐ。
(まだだ………まだ、早い…………)
 昏く(くらく)赤い闇が、なにものかに強制的に引き摺り下ろされてゆくかのような、瞼の裏に広がっていた。
 足から、腰から、全身から次第に力が抜けてゆく。
 からだが、馴染んだ重力に逆らうことすら、忘れたかのようだった。
(誰かっ)
 はじめて――――自分の病を自覚してから、初めて――――はじめは、自分以外のものに救いを求めた。
(まだ、まだ……死にたく、ないっ!)
 心の奥深くに隠し、考えないようにして、自分でも忘れることに成功していた、早過ぎる死への恐怖が、はじめを捕らえたのだ。
(いやだ……いや…………誰でもいい。誰でもいいから、オレを、助けてくれっ)
 この恐ろしさから救い出してくれれば、なにをやったって、かまいはしない。
 なんであろうと、そいつの望むものをくれてやるから。
 こみあげてくる熱はどうしても堪えることができなくて、自身の内からこぼれあふれてゆく血潮を、それでも、まだかろうじて開くことができていた視覚に映す。
(だめ、なのか?)
 それは、あまりにも突然の諦観だった。
 からだが冷えてゆくのを他人事のように感じながら、なげやりに、はじめは瞼を閉ざしてしまおうとした。
 まさに、その刹那だった。
 とろりと深い金の色が、閉じかけた視界いっぱいに広がった。
 記憶を刺激する色を脳裏に、はじめは意識を手放したのである。


◇◇◆◇◇



 永い眠りの後とは思えぬ、しなやかな動きで、遙一は起き上がった。
 胸の上に、あの少年の頭がのっている。
 たった一滴(ひとしずく)の、名前も知らぬこの少年の血で、これまでに感じたことがないほどの、力のみなぎりがあった。
「ほんとうに、君が来てくれるとは、思ってもみませんでしたよ。それに、私は、君の望みを叶えてあげることができる。君の叫びは、聞こえましたよ」
 慕わしい――と、生まれてはじめて覚えた少年を抱き上げ、いまだ血にまみれている少年のくちびるに、己のくちびるで触れた。
「英司―――――これまで、ごくろうでしたね」
 遙一のことばに、フミを抱えて立ち尽くしたままでいた禰宜が、色の薄い瞳をゆるりと見開いた。
 やわらかな笑みをたたえた白い美貌。その人ならざる血に目覚めた、欝金のまなざしが、かつて松谷英司と呼ばれた男に向けられている。
 英司という名を呼ばれたことによって、呪縛を受けていた自我がよみがえる。
 遙一と共に眠りにつくはずであった自分が、現世(うつしよ)に存在しつづけたその理由は、ただ、遙一の憎い相手をすべて殺していなかったからにほかならない。
 自分がこの長い歳月の間、心の奥底で懇願しつづけていたものは、彼、従兄弟からの解放に他ならなかった。そう、求めたのは、心のない人形のように操られることではなく、ただ、永劫の眠りだけ。
 だから、従兄弟――高遠遙一が、その心の奥深くで望みつづけた許しを、待った。彼が許されるなら、自分もまた許され、眠りにつくことができる。再びこの手を血で染めずともすむのだ。
 だから、 「おまえを、私の呪から解放しよう」
 そのことばに、英司はすがすがしい笑みを浮かべた。
「――――」
 何のことばもなかった。
 ただ、長く使役されつづけた後にやっとのことで訪れた、解放の喜びにつつまれていた。
 そうして、またたく、英司の姿は、さらさらと、乾燥しきった砂の城が風に崩れゆくかのように、消え去ったのだ。

「った」
 悲鳴は、フミのものだった。
 英司に抱えられたままだったため、彼の消滅で、床に投げ出されたのだ。
「いてててて」
 腰をさすりながら立ち上がったフミは、周囲を見渡し、首をかしげた。
 見知らぬ青年に抱きかかえられているのは、
「えーと、はじめっ?」
 駆け寄って、
「あ、……………よかったぁ、生きてる」
 薄暗い中でもあまりに青い顔色に、てらリと生々しい血のあとに、はじめの息を確かめずにはいられなかった。
 安心して張っていた気が抜けたのだろう、その場に腰を落としたフミだった。が、はじめを抱いている青年に、再びの緊張を覚えずにいられなかった。
 改めて見た相手の顔は、血が流れているのだろうかと疑いたくなるほどに白く、これまでフミが見たことのあるどんな男よりもきれいだ。
 しかし、着物の胸元に散っているあれは、血ではないだろうか。
 金の瞳で見下ろされて、ぞくりと冷たい震えが背中に走った。
「はじめを、返してよ」
 何気ないときにふいに見せるはじめの笑みが、心配そうなニックの表情が、いやおうなく、フミに、はじめが自分を残して行ってしまうという、いやな予感を抱かせつづけていた。
 はじめは、自分に嘘をついている。
 それは、確信だった。
 だから、まるで、死神にも思える白い美貌を、ひとならざるものと断じた勘が、そう言わせたのだ。
「はじめを連れてかないで」
 熱い塊が喉の奥に生じていた。
 こみあげてくるそれが、耳を、頬を、目を、炙りつづける。
(泣くもんか)
 くちびるを噛みしめて、フミは金の瞳を睨みつけた。
 鳶色の瞳が、自分を凝視している。
(似ている)
 腕の中の少年と、目元を今にも泣き出しそうに染めたこの幼い少女に、まぎれもない血の繋がりを感じ、遙一は、ふっと、咲きこぼれるような笑みを宿した。
「はじめを連れてかないでよ」
 ことんことんと、しだいにゆるやかなものになってゆく少年の鼓動を、胸に感じながら、遙一は、首をかしげる。
「この少年は、私のものです。それに、私が連れてゆかなくても、そう遠からず、いってしまいますよ」
 危惧しつづけていたことを口に出されて、フミの全身が大きく震えた。
「……そんなっ」
 フミがはじめの顔をのぞきこむ。
 青ざめた顔。
 それが、記憶の奥底深くに眠る、母親の死に顔と重なる。
 当時、まだ、フミは三才にはなっていなかった。慌しく行き来する大人たちの邪魔になるからと、フミは母の枕元に座らされていたのだ。
 闘病の果てについに根が尽きたのだと、青白い母の死に顔は、苦痛から解放されて、いっそすがすがしいほどにやすらかだった。
 けれど―――
 母は楽になったのだとわかっても、けれど、やっぱり、生きて傍にいて欲しかった。
「やだ。………やだよぉ」
 フミの、我慢が、折れた。
 泣くつもりなどなかったのに、泣かないでいようと思っていたのに、こらえきれなかった涙が、瞼からあふれ、頬を伝い落ちた。
「フ………ミ?」
「はじめっ」
「な、に、泣いてんだ……」
 それは、今にも消えてゆきそうなほど、力のない、声だった。
「っ……だって………」
 しゃくりあげるフミの頬に、はじめが指で触れる。
「おまえって、案外泣き虫なんだよな……ひとりにすんの、心配…………」
「だったら! だったら、いっちゃわないでよ」
 フミのそのことばに、はじめがくすりと笑った。
「無理言うなって………」
 最後まで言い切らず、はじめは噎せ、再び頬を血で汚した。
「っ」
 あまりにもおびただしい量の喀血に、フミが二、三歩後退る(あとじさる)。
 血の匂い。
 その濃厚なまでの生々しさに、フミは、気が遠くなりそうだった。
 ここで踏ん張らなければ、はじめは、自分の前から消えてしまうだろう。
 今にも気を失いそうになりながらも自分で自分を支えているのだろう、幼い少女の姿に、はじめの背中をさすっていた遙一は、心を動かされた。
   しかし、遙一は、自分にできることは、ただ、この少年を自分のもとに縛りつけることだけだということを、知っていた。
   そうすれば、この少年は、この苦痛から解放され、存在しつづけることができる。
 少年の心の叫びを聞いた、あの目覚めの瞬間から、この少年を自分のものにすることを、決めていた。
 万に一つの許し。
 唯一にして初めて、慕わしいと感じた相手。
 この少年を手放すことなど、できはしない。
 腕の中にあるこの重みを、どうして、手放せるだろう。
 遙一は、金色のまなざしに、ある呪をこめて、フミの瞳を覗き込んだ。
 声が出ない。青年とはじめから、目を逸らすことすら、できない。それが、目の前の青年のしわざなのだと、考えるまでもなく、わかっていた。
(ばかっ)
 青年を、ののしる。しかし、それは、声にならない。心の中だけで叫ぶしかない現実に、フミは、地団太を踏みたかった。
 自分を睨み据える、もう一対の鳶色のまなざしを痛いほどに感じながら、遙一は、
「君の望みを叶えてあげよう。かわりに、君は、私のものにならなければいけない」
 求めた鳶色のまなざしを覗き込んだのだ。
 身の内からの苦痛に閉ざされていた瞳が、かすかに、開いた。
 生理的な涙に潤み、苦痛に充血したまなざしが、心もとなげに、彼を求めて揺れる。
「その苦しみから、解放してあげましょう」
 縋りついてくる、少年の手の弱々しさ。
「どうします?」
 ささやきながらも、遙一は、否と言わせるつもりはなかった。
 金のまなざし。
 ああ――――
 あの時の。
 思い出したのは、夢とも現実ともつかなかった、あの、不思議な光景。
 渇きやつれていた、あの黒髪の青年。
 自分の血を啜った、あの。
 そうか。
 自分は、どうせ、助からない。
 もはや動かすことのできない、未来に、はじめは、ぶるりと胴震いをした。
 ならば――――――
(こういう選択だって、ありだよな)
「フミ、ごめんな」
 それだけをどうにかことばにして、鉛よりも重い腕を、はじめは青年の首にまわした。


◇◆◇◆◇



 ざわめきに、目覚めた。
 いつ帰ったっけ? 疑問の答を見出せなかった。
 いつもはしんと静かなほどの家なのに、やけにうるさい。
 はじめさま――ということばが耳につく。
「どうしたの?」
 障子を開けて、ちょうど通りかかった家人を捕まえて、フミはそう訊ねた。
「はじめさまが」
「はじめが?」
 首をかしげたフミの耳に届いたのは、信じられないことだった。
「じょーだん」
 ではないとわかっていても、そう思いたくて、でも、弛んだ涙腺から、涙がこぼれた。
 はじめが帰らないと探しに出たニックが、既に冷たくなっていたはじめを見つけたのだ。慌しくそう告げたのは、この家を取り仕切っている男である。携帯電話を懐から取り出した彼は、もうフミに見向きもしない。はじめの祖父だという人に連絡をするのだろう。
 白い美貌が、ひとならざる金の瞳が、フミの脳裏によみがえる。
 はじめの腕がその首にまわされた瞬間、あれは、えもいわれぬ笑みをたたえた。そうして、あの薄暗い空間から消えていったのだ。はじめを抱きかかえたままで。
『フミ、ごめんな』
    最後にはじめがフミに向けた、苦しそうな笑顔とことばを思い出し、フミは、涙を拭った。
「はじめのばか………」
 震えることばが、畳の上で、砕けて、消えた。
 


8へ戻る
おわり
from 20:35 2004/01/15
to 17:11 2004/01/17

あとがき

 長いことかかって、こんなラストでスミマセン。
 結局、なんと言うか、最初の思惑とは違ってしまいました。
 少しでも楽しんでいただけるとうれしいです。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送
HOME  MENU