プロローグ
「お懐かしゅう。主(あるじ)さま」
目の前に拝跪している男の大きな手が尋(ひろ)の素足に触れた。
いまだ稚(いとけな)い風情の尋が触れてくる男の掌の感触に怯え、大きくからだを震わせる。
成人した男の魅力を余すところなく備えた美しい男だった。一目見るなりひとではないのだろうと、そう察することができるほどに。
だからこそ、怖いと感じた。
ただひたすらに。
そうして今ひとつ、尋が怯える原因はあった。彼らふたりを取り巻く光景を見やれば、即座に納得できるだろう。
to be continued
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